インターネットラジオ局を作る際の著作権と現代の状況
インターネットラジオ局を運営する上での著作権の重要性
私はこれまでインターネットラジオ局を作る方法を紹介してきましたが、今日は特に重要な「著作権」についてお話しします。現在、私が運営している「らじきゃす」は、主にPodcastを通じてリスナーに音声コンテンツを届けています。Podcastはダウンロード型のメディアであり、iTunesやウェブブラウザからも視聴可能です。この場合、市販の音楽を使う際には必ず著作権料が発生します。
Podcastでの著作権:使用料の基本
JASRACの使用料の計算基準によると、Podcastは「ダウンロード型」のメディアに該当し、商用配信であれば「広告料あり」の枠に入ります。JASRACの早見表に基づくと、楽曲使用料は「5.5円または2.7円×曲数」が適用され、最低使用料は5,000円となっています。つまり、1曲しか使わなくても5,000円は支払う必要があり、たくさんの曲を使っても同じく5,000円が最低額です。
音楽の紹介はどうするべきか?
個人的には、Podcastで音楽を紹介する際にはイントロ部分に音楽を流す程度にし、音楽そのものが切り抜かれて不正に流通しないよう工夫するべきだと考えています。また、Podcastで音楽番組を配信している例は少ないですが、JASRACへの申請が煩雑であることがその一因かもしれません。
ストリーミング配信の場合
ストリーミング配信は、ラジコやTuneInのようなサービスで広く利用されています。ストリーミングはダウンロードと異なり、番組がリアルタイムまたはオンデマンドで再生される形態です。
ストリーミング配信はほぼ放送局を持たないラジオ放送局のような感じです。iTunesにもラジオのタブがあってずっと音楽を流している「配信局」がありますね。日本ではなかなか見ないですし、今は、amazon music や spotify にその需要は奪われつつあるようです。
ストリーミング配信でのJASRACの使用料
JASRACの使用料は、番組のジャンルによって異なりますが、音楽番組の場合、収入の3.5%が使用料として請求されます。これは「広告料あり」の場合で、最低金額は5,000円です。大規模なラジオ局にとっては大きな負担かもしれませんが、ほとんどのインターネットラジオ局にとっては比較的軽微な額で済みます。
著作権の取り扱いとアマチュア音楽
著作権の取り扱いは意外と厄介です。JASRACに登録されていないアマチュア音楽の場合、個別に許可を得る必要があるため、メジャーな楽曲よりも手続きが面倒な場合があります。そのため、JASRACに登録されている楽曲を利用する方が手軽というケースも多いです。たとえば、クリエイティブ・コモンズなどのライセンスを持つ楽曲は、用途によっては使用が制限されることがあるので注意が必要です。
アーティストのためにできること
インディーズ系アーティストをサポートするためには、ラジオ局や音楽配信サイトが音楽紹介やアーティストのプロモーションをより自由に行えるよう、規約の見直しが必要かもしれません。ラジオで曲を流すことで、BGMとして使うよりもはるかに効果的なプロモーションとなる可能性が高いのです。ただし、応援のつもりで採用していたインディーズの楽曲がメジャーレーベルとの契約に移ってそのまま流し続けると著作権法違反になる可能性もあり、一度、使用した場合は、そのアーティストの動向は常に注視する必要があります。やはり少々、面倒かもしれません。
まとめ:ラジオ局を立ち上げるために
インターネットラジオ局の設立には、JASRACや著作権の問題が大きく関わりますが、正しい手続きを踏めば、ラジオ局の運営は決して難しいものではありません。音楽出版社としてアーティストを支援することも視野に入れることで、さらに広がるビジネスチャンスを感じています。
注記
本記事の内容は、執筆時点での情報に基づいています。著作権取扱機関(例:JASRAC)の規約や使用料の基準は、随時変更される可能性があります。最新の情報や詳細については、各機関の公式ウェブサイトを確認してください。
また、jasracの担当者の方からヒアリングしたことを中心に記述していますが、担当者の個別の判断が含まれている可能性も否定できないので、楽曲を使用する際は都度、確認しながら進めてください。この記事により著作権を誤って侵害してしまった場合でも、その責任は一切負うことができませんのでご了承ください。
とても難しく機微な法律です。ご注意ください。
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